G1・G2・G3グレードの省エネ性能とコスト回収シミュレーション
ZEHより上のG1・G2・G3グレード(HEAT20基準)を採用した場合、より高い断熱性能が得られますが、イニシャルコスト(初期投資)が増加し、ランニングコストの削減額も増大します。そのため、コスト回収(損益分岐点)がどの程度になるかを検討することが重要です。
1. HEAT20(G1・G2・G3)の断熱性能
断熱性能基準 | UA値(W/m²K) | 特徴 |
---|---|---|
省エネ基準(2025年基準) | 0.87(5地域)/ 0.75(4地域) | 最低限の基準 |
ZEH基準(2030年基準予定) | 0.6以下 | 太陽光発電と組み合わせて省エネ化 |
HEAT20 G1 | 0.48(5地域)/ 0.46(4地域) | 断熱性UP、光熱費15~30%削減 |
HEAT20 G2 | 0.34(5地域)/ 0.34(4地域) | 高断熱、室温安定、光熱費30~50%削減 |
HEAT20 G3 | 0.23(5地域)/ 0.23(4地域) | ほぼ無暖房で快適、超高性能 |
- G1は一般的なZEHよりもやや高性能
- G2になると外気温の影響をほぼ受けないレベル
- G3は超高性能(パッシブハウス級)だが、イニシャルコストがかなり高い
2. 各グレードの追加コスト
G1・G2・G3にするには、断熱材の増強・窓性能の向上・気密性能の強化が必要になります。
断熱性能 | 追加コスト(概算) |
---|---|
ZEH | +200~300万円 |
G1 | +300~400万円 |
G2 | +400~600万円 |
G3 | +600~1000万円 |
- G2以上はトリプルガラス窓が必須になるケースが多く、コストが急上昇。
- G3になると施工技術も高度になるため、業者の選別も必要になる。
3. 各グレードの光熱費削減効果
UA値が低くなるほど冷暖房費が削減され、回収期間が短縮します。
住宅性能 | 年間光熱費(概算) |
---|---|
UA値0.87(最低基準) | 20~25万円 |
ZEH | 10~15万円 |
G1 | 8~12万円 |
G2 | 5~10万円 |
G3 | ほぼゼロ(3~5万円) |
- G1で光熱費が20~40%削減
- G2で50%以上削減
- G3ではほぼ暖房・冷房なしで快適な住環境が実現可能
4. コスト回収(損益分岐点)シミュレーション
追加コストと年間の光熱費削減額から、回収期間を計算。
住宅性能 | 追加コスト | 年間光熱費削減額 | 回収期間 |
---|---|---|---|
ZEH | +200万円 | 10~15万円 | 13~20年 |
G1 | +300万円 | 12~17万円 | 15~25年 |
G2 | +500万円 | 15~20万円 | 20~30年 |
G3 | +800万円 | 18~22万円 | 30年以上 |
- G1は15~25年で回収可能
- G2は20~30年かかるが、室温の安定性が高くなる
- G3は30年以上かかるため、ランニングコストだけでなく、快適性を求める人向け
5. 補助金を活用した回収期間の短縮
補助金を活用すると、コスト回収期間を短縮できる。
活用可能な補助金
- ZEH補助金(55~140万円)
- 高断熱窓補助(10~50万円)
- 太陽光発電補助(自治体ごとにあり)
- 断熱性能向上補助(HEAT20基準向けに支援あり)
➡ G1・G2レベルの住宅では補助金を活用することで、実質的な回収期間を5年程度短縮可能
6. 結論:どのグレードを選ぶべきか?
- ZEH … 最もバランスが取れており、10~15年で回収可能
- G1 … 光熱費削減+快適性向上で、費用対効果が良い
- G2 … 初期コストが高いが、補助金を活用すれば選択肢に入る
- G3 … ランニングコストの削減よりも、快適性重視の人向け
💡 オススメの戦略
- 基本はZEH(UA値0.6)+太陽光発電で、初期投資を抑えつつ10~15年で回収
- 予算があればG1を選択し、快適性を向上
- 長期的な価値を考えるならG2も選択肢
- G3は超高性能だが、コスト回収ではなく快適性を求める人向け