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「解体設計の実務とは?分解から積算までのプロセスを徹底解説」

解体設計は、建物を壊すだけではなく、その構造を詳細に把握し、分解した部材を重量や体積で換算して、建設副産物処理費用をはじめとした実行予算を積算する高度なプロセスです。また、近年ではアスベスト含有材の推定・調査が設計の重要な一環となっており、安全かつ効率的な解体を実現するための鍵となっています。本記事では、解体設計の具体的なプロセスとアスベスト調査の重要性について解説します。


1. 解体設計とは?その役割と重要性

解体設計の目的は、解体工事の安全性や効率性を確保し、環境への影響を最小限に抑えつつ、適切なコスト管理を行うことです。建物の構造や材料を正確に把握し、廃材の分別や再利用を計画することで、解体工事がスムーズに進むようサポートします。

特に、アスベスト含有材の調査とその対応は、設計の重要な役割のひとつであり、法令遵守や環境保全の観点からも欠かせない事項です。


2. 解体設計の実務プロセス

解体設計の主なプロセスは以下の通りです。

(1)図面の読み取りと復元

解体設計は、建物の構造を正確に把握することから始まります。

  • 既存図面がある場合:構造図や仕上げ表を基に、建物の部材構成を特定します。
  • 図面がない場合:現地調査を実施し、建物の現況を詳細に記録して、配置図・平面図・立面図・仕上げ表等の図面を復元します。場合によっては、その他、詳細図の作成や撤去(存置)備品リスト等の作成、建築物以外の解体撤去設計(外構関連・植栽等)も必要となります。

(2)部材の分解と重量・体積の算出

建物を構成する全ての部材を分解し、それぞれの重量や体積を計算します。

  • コンクリート、鉄骨、木材などを細分化し、廃材処理や再利用計画を立案します。
  • これにより、解体数量・発生材数量の積算と内訳書の作成を行います。

(3)アスベスト含有材の推定と調査

解体設計では、アスベスト含有材の有無を事前に確認することが重要です。

  • 資料調査:建設年代や使用材料の記録から、アスベスト含有材の可能性を推定します。特に1970~1990年代の建物は高リスクとされます。
  • 現地調査:アスベストが疑われる箇所(断熱材、吹き付け材など)を採取し、専門機関で分析を行います。
  • 対応計画:アスベスト含有が確認された場合、安全な除去方法や処理費用を設計に反映させます。

(4)解体手順と廃材処理計画

建物の解体手順を計画し、廃材の分別や処理方法を設計します。

  • 部材ごとに再利用可能なものと処分が必要なものを分け、リサイクル率を高める工夫を行います。
  • 廃棄物の運搬ルートや処理施設を明確にし、効率的な処理計画を立案します。

(5)予算の積算

分解した部材と廃材処理計画を基に、以下のコストを算出します。

  • 解体数量
  • 発生材数量

3. アスベスト調査の重要性

アスベストは健康に有害であるため、解体工事では特別な配慮が必要です。日本では、労働安全衛生法や大気汚染防止法に基づき、アスベスト含有材が確認された場合、特定の手続きと除去作業が義務付けられています。

(1)推定調査の流れ

  1. 建物の施工年代と使用材料の確認。
  2. アスベストが含まれる可能性のある部材を特定。
  3. サンプリングを実施し、専門機関での分析を依頼。

(2)アスベスト対応の設計への反映

  • アスベスト除去作業の工程を詳細に計画。
  • 除去に必要な人員、機材、時間を積算。
  • 廃材処理費用を明確化し、コスト管理を強化。

アスベスト調査を怠ると、施工後に重大な問題が発生する可能性があるため、設計段階での徹底した対応が不可欠です。


4. 解体設計がもたらすメリット

(1)コストの最適化

部材の分解と正確な積算により、無駄なコストを削減できます。

(2)環境負荷の軽減

アスベスト含有材の安全な処理や廃材のリサイクル計画により、環境への影響を最小限に抑えます。

(3)法令遵守

アスベストや廃棄物処理に関する法律を遵守することで、違法行為や行政指導を回避できます。


5. まとめ

解体設計は、単なる建物の撤去計画ではなく、部材の詳細な分析や廃材処理計画、アスベスト含有材の調査を通じて、工事の効率化や環境保全を実現するプロセスです。当社では、公共工事を含む多くの解体設計の実績があり、図面の復元やアスベスト対応を含めた設計を得意としています。

解体工事を検討されている方は、ぜひ当社にご相談ください。安全かつ効率的な解体を実現するための最適なプランをご提案いたします。

 
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