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住宅の断熱性能等級について

 断熱性能等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称「品確法」)にて定められている、断熱に関わる指標です。

 具体的な基準は、以下のとおりです。

 

●等級7(令和4年制定):現行の省エネ基準よりも概ね40%削減可能なレベル

●等級6(令和4年制定):現行の省エネ基準よりも概ね30%削減可能なレベル
●等級5(令和4年制定):ZEH基準相当が、この等級5に該当する。
●等級4(平成11年制定):「次世代省エネ基準」といわれ、壁や天井以外の開口部にも断熱が必要。
●等級3(平成4年制定):「新省エネ基準」と呼ばれ、一定レベルの省エネ性能をもつ。
●等級2(昭和55年制定):何十年も前の基準であるため、省エネレベルは低い。
●等級1 上記以外。

 

 (中古住宅の調査に行きますと、あらかた等級1・2の建物ですが、冬はとんでもなく冷え込んでおり、他方、夏場の最上階は窓を開けずにはいられない状態です。)

 

 なお、2025年には等級4が義務化、2030年度には等級5が義務化予定となっております。義務化となりますと、基準時前の建物が既存不適格となりますので、これから義務化までの期間で建築予定(確認申請)の方は、高い断熱性能の建物を建築されるのが得策となります。

 

 住宅の断熱性能(外皮性能)は、UA値(外皮平均熱貫流率)ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)により構成され、いずれも、地域区分別に規定されている基準値以下となることが要求されてきます。

 地域区分とは、例えば北海道が地域1、沖縄で地域8というように、1~8までの計8地域に区分けされており、詳細な全国の市町村別の地域区分は、国土交通省の公式資料にて確認できます。

 

 断熱性能を上げるには、単純に上記のUA値とηAC値をできる限り小さくすればよいということになるのですが、そのためには、断熱材(床・外壁・天井・屋根面等)を厚くする断熱材の仕様を良くするサッシは高性能商品とする高性能設備を導入するといった方法が考えられます。

 また、断熱効果を適切かつ最大限に発揮するためには、建物全体に断熱材を隙間なく施工し、完全に包囲することが肝要です。さらに、夏は日射を避け、冬は日射をできるだけ取り込むような開口部の配置・面積計画も大切です。昔のように、各部屋にとりあえずスタンダードな窓みたいな計画ですと、不利に働く可能性があります。

 外からの日差しを遮る庇やルーバーを設置するのも有利に働きます。

 この時、高い断熱性能の建物になると、必然的に表面結露や内部結露のリスクがあるため、適切な気流止めや防湿・気密層の設置、構造熱橋部(ヒートブリッジ)の断熱補強、コンクリートへの断熱材の密着、といった対策も併せて必要となってきます。

 

 当然、断熱性能等級が低い建物と比較し、高い建物では導入時のコストデメリットが発生してしまいます。ただし、補助金制度減税金利優遇などの特典が受けられますので、これらをうまく活用することにより、ある程度は負担軽減できるでしょう。

 

 地域区分や敷地条件、構造や断熱仕様等の個別事情により異なりはしますが、おおよそ100~400万円の建築費負担増になると想定できます。特に、断熱性能等級7になりますと、当事務所の所在地がある4地域では外壁面の充填断熱のみならず、付加断熱を勘案しないと基準値をクリアするのが難しくなることもあり、この付加断熱がなかなかのコスト増となってしまう場合があります。

 

 もっとも、省エネ建築物によるランニングコストのメリットはそれなりに大きく、特に、電気料金・資源インフレ状態の中では想定以上に経済的メリットが大きくなる可能性が十分に見込めます。

 また、上位の断熱性能等級の建物の快適性は高級宿並みである上、木材の乾燥保持性能を併せ持つことで、日本では単なる耐久消費財とみなされてしまう建物に、資産価値を与えられることで投資側面としても魅力性があり、結果として、費用便益点に短い期間に到達することが考えられます。

 個人的にはコストと性能のバランス的に等級6あたりを狙っていくのがお勧めです。

 

 

 

 

 

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