内部結露で注意すべき3層
内部結露とは壁内結露ともいい、住宅の壁の中で結露が発生してしまうことです。
この内部結露は比較的新しい住宅で発生しており、建物の高気密化による現代病と考えられています。
内部結露は、建築物の主要構造部の腐朽や断熱性能の低下、また、カビや、カビをエサとするダニが増えることで、ぜんそくやアレルギー症状を引き起こしてしまうなど、建物の耐久性のみならず人体の健康状態にも悪影響を及ぼすので、効果的な対策を打つべき問題です。
内部結露は、室内の水蒸気を含んだ空気が壁の中にある断熱材の中まで侵入して外部側に抜けず、断熱層に滞留した場合に外気温の影響でその部分が冷やさせることによって発生します。
結露を防止するためには、室内の水蒸気を含んだ空気が壁内に侵入するのを防ぐ必要があり、断熱材を隙間なく、かつ、防湿材を壁全面に設けることが基本となります。
しかし、防湿層の施工を入念に行っても、水蒸気を含んだ空気が壁内(断熱層)に侵入することを完全に防ぐことは相手が空気である以上は相当に難しいことです。そのため、壁内に侵入した水蒸気を外部に放出させるための処置として、断熱材の外壁側に上下が外気に解放された、空気が流れる通気層を設けることで、壁体内の湿気を常に外部へ排出させることが可能になります。
よって、内部結露を防ぐ大事な3要素は
①気密層
②断熱層
③防湿層
であり、それぞれを空隙なく連続させ、システム化することです。
〇主な不適切な施工事例として(注意すべき点)
・断熱材の防湿シートの不連続(内胴縁や配線とぶつかる部分に隙間ができているなど)
・配管回りの断熱欠損(コーキング材だけで処理するのも危険)
・根太工法の気流止め忘れ(剛床工法でも間仕切り壁に気流止めが必要な場合あり)
・下地なしで気密テープを貼る
・床下断熱材が配管作業で脱落する
・基礎と土台の間の断熱欠損
・高湿度の床下(床下コンクリートの水分)が冷える
・サッシ周りの細部の断熱を忘れる
・工事中に濡れた構造材を密閉
・通気パッキンと気密パッキンを間違える(特に浴室や玄関など)
・断熱材の厚さ不足
・換気ダクト内の結露(換気ダクトに断熱措置が施されていないなど)
・コンセントボックスの周りの防湿・気密処理忘れ
・屋根断熱上部の通気層の不備
・換気不足(ダクトの曲がりすぎによる圧力損失など)
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